2006年05月15日

柿渋とは

柿.jpg

ついほんの少し前まで、秋になると日本のあちこちで軒先に干し柿(吊るし柿)を干す光景が見られたものです。

干し柿は古来には貴族が食べる菓子として、また農家にとっては冬の飢えをしのぐ非常食として、さらには貴重な換金商品でもありました。

柿は日本に昔からある果物の一つで、世界的にも"kaki"で通用します。柿には大きく分けて渋柿と甘柿がありますが、現在、甘柿としておなじみの富有柿などの品種が栽培されるようになったのは江戸時代以降のこと。それ以前の原種の柿は独特の渋味があり、その渋味を抜くためにいろいろな知恵と工夫が生まれました。そのひとつが干し柿なのです。

渋柿が渋いのは、果肉に含まれるタンニン細胞の内容物が水に溶けやすいため、口で入れた時に、タンニン細胞が砕けてその内容物が流れ出してくるからです。 渋柿も熟してくるとだんだん渋味が抜けてきますが、これはタンニン細胞の内容物が凝固して溶け出さなくなるので、渋味を感じなくなるわけです。

タンニンは、植物が傷付いた時に病原菌や紫外線などの有害なものから自分を守るための成分です。それが一種の防腐効果ともなります。

干し柿や熟し柿の自然の甘さはとても美味しいものですが、古来より日本人は柿の渋みの元、「タンニン」を生活の中で様々に活用してきました。柿に含まれるタンニン=カキタンニンには防水、防腐効果があり、そのカキタンニンが凝縮された柿渋を、江戸時代には番傘や酒袋、雨合羽や家屋など生活の隅々まで利用していました。

柿渋とは柿から摂取した渋の汁のこと。渋柿の未熟果を擦り潰して搾汁して、発酵させ濾過したものです。柿渋液の中に含まれる「カキタンニン」には上述のように防水、防腐、防虫効果があります。柿渋による染めは、古くは平安時代から使われていた伝統の染色技法で「太陽の染め」と言われてきたように、日光によって変色して色が濃くなっていくのが特徴です。

元来、日本人が柿渋を利用したのは、その防水、防腐効果のためで、今のように染色のためではありませんでした。
それが、現代の人工的な色で溢れかえる生活の中ではとても新鮮で安らぎを感じる色合いとして見直されています。
posted by わびすけです at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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